最高裁判所第一小法廷 昭和56年(ク)119号 決定 1981年7月02日
抗告人
松岡高義
主文
本件抗告を棄却する。
抗告費用は抗告人の負担とする。
理由
抗告人の抗告理由について
論旨は、民訴法四一九条の規定は憲法八二条に違反するので、ひいては、抗告人を審尋することなく訴訟救助却下決定に対する抗告を却下した原決定は憲法八二条に違反する、と主張する。しかし、憲法八二条にいう裁判とは、終局的に当事者の主張する実体的権利義務を確定することを目的とする純然たる訴訟事件についての裁判のみを指すものであることは、当裁判所の判例とするところであり(昭和四一年(ク)第四〇二号同四五年六月二四日大法廷決定・民集二四巻六号六一〇頁)、訴訟救助却下決定に対する抗告却下決定は右憲法の規定にいう裁判に該当しないものであるから、原審が当事者の審尋を経ないで審理、裁判したことをもつて右憲法の規定に違反するということはできない。右論旨は、採用することができない。
なお、その余の違憲をいう論旨は、その実質において、原決定の単なる違法、不当をいうものにすぎず、民訴法四一九条ノ二所定の場合にあたらない。
よつて、本件抗告を棄却し、抗告費用は抗告人に負担させることとし、主文のとおり決定する。
(谷口正孝 団藤重光 藤﨑萬里 本山亨 中村治朗)